「立皇嗣の礼」の後、時を空けないで、
皇位の安定継承に向けた政府の検討が始められる。それが国会(つまり国民)との約束だ。
そこで念の為に、最も初歩的な論点を改めて“おさらい”しておこう。
憲法第2条に以下のようにある。「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、
これを継承する」ここには2つの要請が盛り込まれている。
1つは、皇位の「世襲」継承。もう1つは、その継承が「国会の議決した皇室典範」
のルールに従うべきこと。
ところが従来、この2つが全く矛盾した状態にある。
それが最大の問題だ。すなわち、現在の皇室典範のルールに従う限り、皇位の世襲継承は早晩、
行き詰まる他ない、ということ。
何しろ、明治の皇室典範以来の「男系男子」限定という、歴史上、
かつて無い厳しい制約を“維持”しつつ(典範第1条)、
一方で「男系」継承を維持する為に不可欠で、明治典範も当然、
前提にしていた非嫡出による継承可能性を、一切“排除”しているのだ(同第6条)。
これはムチャ。従って、皇位の世襲継承そのものを断念しないのなら、
皇室典範のルールを変更して、非嫡出の継承可能性を復活させるか、
それとも男系男子の縛りを見直すか、その二者択一しかない
(一般に唱えられる旧宮家案も女性宮家案も、この二者択一を踏まえなければ、
本質的な選択肢たり得ない)。前者があり得ない(又、万が一、制度上復活したと仮定しても、
実際に機能するとは考えられない)以上、後者を選ぶ他ない。
それは、皇位の世襲継承を規定した憲法それ自体の要請と言うべきだ。
追記。11月5日発売の「週刊新潮」(11月12日号)
“立皇嗣の礼”関連記事に私のコメントが掲載されている。【高森明勅公式サイト】
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